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医療法人・社会福祉法人の税務のお客様へ

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医療法人・社会福祉法人向け税務サービスのご案内

個人事業に比べ医療法人には税金面で様々なメリットがありますが、そのメリットを生かす為に注意する点があります。医療法人の税率や院長・理事長の給与と専従者給与との違い、寄付金・交際費課税、配当の禁止と株価についてなど、医療法人の税務上の留意点について掲載いたします。その他、個人事業と同様に医療法人にも税務調査があります。日々の資料整備と記帳を正確に行なっていれば何ら問題はありませんが、留意すべき点について挙げていきます。

個人事業との税務上の相異点

医療法人の個人事業との税務上の相異点について。

1. 税率の違い

個人の場合は、所得税10%から37%までの4段階に区分されています。合わせて住民税が課税されます。
実質税率は15%から47.2%までの広がりがあります。
医療法人は特別医療法(公益法人扱い)を除き普通法人として課税され課税所得800万円までは法人税18%800万円超で30%に住民税が課税されます。800万円以下の場合の実効税率は21.24%くらいとなります。

2. 院長・理事長の給与と専従者給与との違い

非常勤役員・過大報酬・役員賞与の問題院長先生の収入も給与として支払われます。
合わせて個人事業では専従者として届け出た者のみ給与の支給を受けることができました。
医療法人では法人の経営に従事すれば非常勤役員にも報酬の支払いができます。
ただし、必要な時に必要なだけが許されていた個人事業と違い、過大な報酬・臨時的な報酬は税務上否認されます。
役員報酬は「定期に定額に」が原則です。
臨時的な報酬(役員賞与)をとれば、法人税と所得税と二重に税金がかかることになります。
(但し、事前届出等により損金は可能です。)

3. 寄付金・交際費課税の問題

交際費は最も気を付けなければならない支出です。法人では交際費支出の10%が経費となりません。
交際費の中に役員の個人的な支出があれば前述の役員賞与とされかねません。税務上否認されないためにも、「誰とどこで」は明確に!場合によっては会議費等となり、交際費課税を避けることもできます。

4. 配当禁止と株価の問題

医療法人は会社ではありません。そのため利益の分配という考え方もありません。(配当禁止) 
医療法人を更に充実させるための蓄積が一般にくらべてやりやすくなっています。
しかし注意すべき点として、蓄積が続くと出資者に相続が起こった場合に出資金の評価額が大きなものとなってしまい、相続税額が大きくなることも考えられます。
役員報酬や社外への支出の方法等を検討することにより、バランスのとれた財務内容にすることができます。

5. 出資金1,000万円以上の場合の消費税課税事業者の問題

入院設備を備えている病院や歯科を除けば、診療所にとって消費税はなじみのうすい税金です。しかし、出資金が1,000万円以上の場合は設立初年度から課税事業者となってしまい、わずかですが消費税を納めなければなりません。その場合でも3年目からはほとんどの場合納税義務はなくなります。
出資金が1,000万円未満であれば、全く納税義務は生じません。

6. 役員貸付金と貸付金利息の問題

個人事業の場合は、医院の資金も院長個人の財産でした。しかし、医療法人と院長・理事長とは全く別の存在となるため、医院からの金銭の引き出しは役員への貸付金となります。法人税法では役員への金銭の無利息貸し付けは認めていません。 院長・理事長等は金利を取られ、医療法人はその金利(雑収入)に対して法人税を支払うという結果になってしまいます。

7. 法人契約の生命保険契約について

個人事業では一定の場合を除き事業主を契約者とする生命保険契約の保険料は経費にはならず所得控除(生命保険料控除 最高10万円)しかできませんでした。
しかし、保険契約者 法人 被保険者 院長・理事長 保険金受取人 法人 等の契約を結ぶことも可能となり、生命保険を活用して退職金の準備をすることもできます。
その際、契約する生命保険の種類により( 定期保険・長期平準保険・逓増定期保険等 )処理方法が異なります。

その他の留意すべき事項

個人事業と同様に医療法人にも税務調査があります。日々の資料整備と記帳を正確に行なっていれば何ら問題はありませんが、留意すべき点について挙げていきます。

1. 窓口一部負担金・自由診療収入・雑収入について

保険収入が大半を占める病医院にとって、数少ない現金収入が負担金収入と自由診療そして雑収入です。
入金の流れ、原票の保管、何時の誰の診療かを明らかにし、入金モレの無いように残高の確認と日計の記録は大切です。歯科では、銀の精製で再生し新たに材料となった(価値の生まれた)ものの収入への計上もれ等も注意しなければなりません。

また、自動販売機を設置していたり、入院施設のあるところではテレビ代金など医療とは直接関係のないところでの収入もチェックの対象となります。

2. 従業員・非常勤職員等の交通費と源泉所得税の徴収について

税務上の非課税交通費を超える金額の交通費は給与となります。また、1ケ月あたりの非課税交通費は常時勤務している者に対するものであり、非常勤の医師等については適用できませんので注意が必要です。
扶養控除申告書の提出のある職員については、甲欄による所得税の源泉徴収をし、提出のない職員(主に非常勤職員)についても、乙欄での源泉徴収をしなければなりません。

3. 日々の経費の支出と請求書・領収書の整備について

経費については確かに支出をしたという証拠が大切です。請求書・領収書は大切に保管しなければなりません。
経費項目については、10万円未満の一度に経費で落ちるもの、10万円以上20万円未満の3年に分けて経費で落ちるもの、30万円以上で資産計上し減価償却を通して経費化されるもの等の区分なども請求書を通して判断されるものです。

修繕費と資本的支出前記の30万円の判断とは別に、修繕費については現状復帰のための支出は経費で計上されます。ただし、元々の資産の価値を高めるような改良については一定の条件のもとに資産計上しなければなりません。

4. 医療用機器・什器備品の購入と事業供用日について

医療用機器等の固定資産の減価償却開始日は事業に供した日( 実際に使い始めた日)からです。
特に決算期末ギリギリの購入の際には実際の納入期日等がチェックされるので、請求書・納品書は整備しておかなけばなりません。
また、医療用機器については、特別償却の適用も受けることができます。

5. リース契約の契約期間について

リース料として支払っている金額は全て経費として計上できると思われがちですが、リース期間がリース物件の法定耐用年数に比べて、極端に短かったり、また極端に長かったりするとリースではなく分割払いで資産を購入したと判断され、資産計上した上で減価償却により経費化されることになります。リース契約を締結する時はリース期間の設定などの諸条件に注意が必要です。

6. 棚卸しについて

棚卸しは決算に不可欠なものです。薬剤だけでなく、医療資材( 注射器や点滴用具など)期末に購入した薬袋やカルテなどの棚卸しにも気をつけなければなりません。

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