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東証1部上場会社でマニュアル制作などを手掛け、滝川クリステルさんのCMでも知られるグレイステクノロジーの不正会計が判明しました。グレイスの2021年3月期の単独売上高のうち55%が架空だったという凄まじさで、それがEY新日本監査法人の監査をすり抜けてしまったそうです。27日までに四半期報告書を提出できなかったということで、上場廃止になる見込みということです。グレイスのほか、上場前から不正があったEduLab(エデュラボ)、不正の範囲が17社に及んだアウトソーシングなど重大な不正会計が昨年秋以降に相次ぎ発覚しているそうです。エデュラボはあずさ、アウトソシンはトーマツが会計監査を担当しているということで、特定の監査法人ではなく、大手全般で起きていることが特徴です。
グレイスの財務諸表には不正を察知できる兆候はあったということで、例えば20年3月期まで2桁の増収率で成長すると同時に、営業利益率も50%まで上がっていましたが、普通「拡大期ならディスカウントして顧客を広げたと想定され、そうすれば利益率が下がるはず」(監査法人パートナー)ということで、一方で売上債権は急増し、売上債権回転期間は17年3月期から20年3月期までで倍以上になっていたということです。現青山学院大学の八田進二名誉教授は「(グレイスは)扱っている現物がない場合が多く、循環取引のリスクが大きい。監査上の主要な検討事項(KAM)として売上高認識の妥当性を置くべきだった」と指摘されたとのことですが、営業利益率にせよ売上債権回転期間にせよ算出して時系列に分析することはそれ程困難なことではなく、公認会計士の監査能力というより、監査法人とクライアントとの力関係の方に問題があったのではないかと疑ってしまいます。公認会計士の人手不足等も原因に挙げられておりますが、実績確保のため本来上場企業としての体裁に疑問符が付く企業を上場させている懸念はないか、という観点からも個人的には確認して頂きたいと思います。
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