回は、改正電子帳簿保存法の説明第1回目として、「電子帳簿等保存」について説明したいと思います。
■対象となる「帳簿」とは?
自己がコンピュータを使用して作成する帳簿が対象となります。
仕訳帳、総勘定元帳、経費帳、売上帳、仕入帳などが該当し、一部の帳簿のみを電子データによって保存することもできます。(例:仕訳帳と総勘定元帳を電子データで保存し、他の帳簿は紙で保存する)
ただし、作成過程で一部を手書きで記録するなど一貫してコンピュータを使用して作成しない帳簿はこの制度の適用を受けられないため、注意が必要です。
手書きの元帳等は要件を満たしていないことになります。
■対象となる「書類」とは?
① 自己がコンピュータを使用して作成する決算関係書類
➡ 損益計算書や貸借対照表などが該当します。
➁ 自己がコンピュータを使用して作成して取引相手に交付する書類の写し
➡ 見積書、請求書、納品書、領収書等の「控え」が該当します。
■電子保存の開始にあたって必要な手続きは?
特別な手続きは必要ありません。
令和4年1月1日の改正電子帳簿保存法施行後は、事前に税務署長の承認を受ける必要もなく、任意のタイミングで電子保存を開始できます。ただし、帳簿の電子保存については、原則課税期間の途中から適用することができないため注意が必要です。
要するに期の途中で手書きの元帳からコンピュータの元帳に変更することはNGということですね。
また、優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置等の適用を受けるためには、所轄税務署長宛にあらかじめ 届出書を提出する必要があります。
ここに、優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置とは、優良な電子帳簿に記録された事項に関し修正申告などがあった場合において過少申告加算税が課されることとなったときは、その過少申告加算税の額を、原則として、国税通則法の規定により計算した過少申告加算税の金額に5%の割合を乗じて計算した金額を控除した金額とするという制度です。
この優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置の適用を受けられるのは「特例国税関係帳簿」に記載された事項に限られると定められています。
特例国税関係帳簿とは、国税に関する法律に規定する帳簿を指しますが、法人税の場合は、仕訳帳・総勘定元帳の他に売掛帳や買掛帳を作成している場合にはそれらの作成している帳簿すべてが法人税法上の帳簿に該当すると考えられることから、それらの帳簿すべてに
ついて同法に規定する国税関係帳簿に係る電磁的記録の備付け及び保存をもってその国税関係帳簿の備付け及び保存に代える電子帳簿のうち、電子帳簿保存法施行規則に定める要件をすべて満たした電子帳簿をいうものと定められています。